もう一つのバルキーノ

バルキーノという名前を持つ兵器が、かつてありました。第二次世界大戦中にイタリア海軍が使った6メートル弱の、木製の小型のモーターボートです。船内に数百キロの火薬を積み、標的の艦船に突っ込むという戦法に使われました。

バルキーノの艇長は隠密裏に敵の艦艇に接近したあと、艇の舵を固定。艇長はギリギリまで目標に近づいてから海に飛び降り、離脱たようです。主を失ったバルキーノはそのまま高速で艦艇に突っ込むことになっていました。

日本にも同様の兵器がありました。日本海軍が作った「震洋」という特攻兵器です。ベニヤなどの薄板で作られた小型ボートにトラックのエンジンを載せ、船首に火薬を積んだものです。
しかしイタリアと違い、日本海軍は、震洋を操艇者が艇もろとも敵の艦船に突っ込み、自爆させるという運用を採用しました。

のんびりと釣りを楽しむことができる極めて牧歌的なバルキーノですが、かつては同じ名前のモーターボートがイタリアで兵器として戦争に投入され、日本ではよく似たモーターボートが日本では特攻兵器として使われたという、あまりにも暗い歴史がありました。

2019年03月28日