波打ち際にバルキーノを置く
バルキーノを波打ち際に置きます。波打ち際はバルキーノの出航位置で、できればやや波がかかるほどの場所がよいでしょう。ただし波が高い場合は、危険なので航行を中止するか、波打ち際から離れた場所からの出航を試みます。バルキーノの置き方は、短い板が陸側、長い板が沖側になるようにします。ただし海岸線と平行に置くのではなく、やや斜めに置きます。海岸線に対して約45度になるようにし、バルキーノの舳先が航行方向の沖合に向かうようにします。
バルキーノは波打ち際に置き、海に対しおよそ45度の角度で出航する。
ラインを延ばしていく
バルキーノを置いたら、短い板のバーに結んだラインを延ばしていきます。航行方向に向かって、バルキーノを引っ張って動かさないように注意しながら、10~50メートルほどラインを延ばします。延ばすラインの長さは、波の高さや海岸によって調整します。波が高いと判断した場合は、速やかに航行を中止します。
①→②→③→④の順に艇長が歩き、バルキーノを引く。
①波打ち際にバルキーノを設置
②ラインを引いて出航させ、巻波をクリア
③ラインにテンションをかけつつ延ばす
④目的の海域に到着したら、ラインを延ばさず曳航
バルキーノのラインは丈夫なので、首や手首などに巻き付けると、大事故につながりかねません。ラインや糸巻きの位置は、胸の高さよりも高くならないように注意するとともに、体にラインが巻き付くポジションには決して位置しないよう、注意しましょう。 「人→ライン→バルキーノ」 が正しく 「ライン→人→バルキーノ」 は危険な位置関係です。 またボタンやベルトのバックルなどの露出が多い服装は、ラインが引っかかり、ラインが体に巻き付く原因となります。服装にも十分注意してください。
■ラインを引いて出航 ①
ある程度ラインを延ばしたらいったん立ち止まってラインを張ります。それからラインを次第に強く引っ張り、バルキーノを砂浜から海に引きずり出します。海に出たバルキーノはすぐに浮力を得て軽くなります。
■巻き波を凌ぐ ②
海にバルキーノが出たら、操艇者はラインにテンションをかけたまますぐに海岸線に沿って歩き出します。バルキーノには波打ち際の巻き波が押し寄せますので、テンションをかけてバルキーノの艇速を維持し、巻き波を乗り越えさせます。ここでラインを緩めてしまうと、転覆、またはバルキーノが方向を失います。しかし引き波がバルキーノをあまりにも強く引き込むような場合はラインのテンションを維持せずにいったん緩め、体勢を立て直します。
■テンションをかけつつラインを送る ③
最初の巻き波帯を乗り切ったら、バルキーノはうねりを乗り越えながら沖合へ向かいます。沖合へバルキーノを送り込む条件は 「バルキーノのラインにテンションをかけたままゆっくりと海岸を歩き、同時に少しずつラインを糸巻きから延ばしていく」という操作です。バルキーノが波を切って沖へ進む推進力を維持しつつ、より沖に航行できるようラインを次第に長くしていきます。
■一定距離で航行する場合 ④
バルキーノが目的の海域まで進んだら、それ以上ラインを延ばすのをやめ、ラインにテンションをかけたまま歩きます。ラインを延ばさなければ、バルキーノは海岸線と一定の距離を保ったまま航行します。釣りをする場合、このような状態になるように操艇し、ポイントやナブラを通過させます。
■潮に流す場合
離岸流等の潮流を見つけた場合、バルキーノを潮に乗せて流すことができます。流す最中も、ラインには一定のテンションをかけておきます。これは短い板のバーに取り付けたラインが、航行方向と逆に移動しないためのテクニックです。相当の沖合に流し、バルキーノの姿が見えなくなったら、ラインのテンションを頼りに、想像で操艇します。
バルキーノの進行方向を、潮流に逆らうように向けると、より沖合に出て行きやすくなります。ゴミの流れる方向などを観察して潮流を読むのがコツです。
■状況に応じた操艇を
バルキーノを大きな河川や潮の流れが速い海峡など、特殊な場所で操艇する場合は、予め十分に砂浜で基本的な操艇を練習し、バルキーノの性質を熟知しておく必要があります。バルキーノの推進力、凌波力を把握すると共に、引き波に巻かれたときにラインにどのくらいの力はかかるか、よく知っておきましょう。これらを知らなければ、命に関わる事故にもつながりかねません。